「子どもの姿勢が悪くて気になる」
「集中力が続かない」
「疲れやすい」
等といった、子どもに対する不安や悩みを感じたことはありませんか?
実は、スポーツは勿論や学習面やメンタルにおいて姿勢が大きく関係しています。
現代ではスマホやタブレット、ゲーム機器などを使う時間が増え、気づけば前かがみの姿勢がクセになっている子どもも少なくありません。
しかし、姿勢の悪さをそのままにしておくと、集中力の低下や運動能力の発達の遅れ、さらには子どもが大きくなった時に肩こりや頭痛、腰痛の原因になる恐れがあります。
大事なお子様の未来のためにも、今から正しい姿勢を意識することが大切です。
本記事では、姿勢がもたらす影響と、今日からできる改善方法をわかりやすくお伝えします。
目次
1. 姿勢の悪さが子どもに与える影響とは?

子どもの姿勢が悪いと、身体的な不調だけでなく、学習能力やメンタル面にも悪影響を及ぼします。
特に、成長期の子どもにとって姿勢は非常に重要で、悪い姿勢を放置すると以下のような影響と問題が起こる可能性が考えられます。
- 身体への影響
①骨や筋肉の成長への悪影響
②運動能力の低下
③呼吸が浅くなる - 学習への影響
①集中力の低下
②記憶力や思考力への影響 - メンタルへの影響
①自信の低下
②気分の落ち込み
特に近年は、スマホやタブレットの普及により、長時間のうつむいた姿勢を続ける子どもが増えています。
姿勢が悪いことを放置すると、成長期の子どもにさまざまな悪影響をもたらすため、早めの対策が重要です。
2.姿勢の悪い子が増えている理由(原因)について

近年、姿勢の悪い子どもが増えているのには、いくつかの原因があります。
2-1. デジタル機器の普及と使用時間の増加
近年では、子どもでもスマホやタブレット、携帯ゲーム機を長時間使用する時間が増えており、その結果として、前かがみの姿勢になる頻度が高くなっています。
- ストレートネックの原因になる
頭が前に出て、首や肩に大きな負担がかかる - 猫背の原因になる
前かがみになることで、背中が丸くなり猫背が定着する - 巻き肩になる
前かがみになることで、肩が内側に入り、巻き肩になる。
オンライン学習や動画の視聴、ゲームなどを行う際に、画面をのぞき込むような姿勢を長時間続けると、ストレートネック(首のカーブがなくなる状態)になる可能性が高くなります。
2-2. 運動不足と筋力の低下
先ほどの「デジタル機器の普及と使用時間の増加」も関わってきていますが、コロナ禍移行、スマホやタブレット、ゲームなど室内で楽しめるコンテンツが増えたことにより外遊びの時間が減っています。
また、公園での遊びの制限や習い事の多さなども理由として考えられます。
身体を動かす機会が少なくなったことで、筋力が低下が著しくなっています。
特に、体幹(お腹や背中の筋肉)が弱いと、姿勢の維持が難しくなります。
2-3.間違った座り方・立ち方の習慣
子どもは無意識に楽な姿勢を取ろうとしますが「楽な姿勢=正しい姿勢」ではなく、むしろ姿勢を崩す原因になってしまうことが多いです。
- 椅子に浅く座る
骨盤が後傾して、背中が丸くなる - 足を組む
骨盤の歪みに繋がり、左右のバランスが崩れる - 片足に体重をかけて立つ
身体の軸が傾き、骨盤の歪みを引き起こしやすくなります - 背中を丸めて机に近づく
前かがみになることで、首や肩に負担がかかり、猫背になりやすくなる。
このように、間違った姿勢を続けることで、身体に悪い座り方が「当たり前(癖)」になり、将来的に身体の不調へと繋がりやすくなります。
2-4. 座る時間が長い生活習慣
学校の授業、家庭(習い事)での学習、スマホやゲームなど、1日の多くを座って過ごす要因が多く存在しています。
長時間座ることで姿勢が崩れやすくなり、悪い姿勢が習慣化しやすくなります。
2-5. 家具の高さが子どもに合っていない
机や椅子の高さが子どもの体に合っていないと、前かがみになったり、足をぶらぶらさせたりして、正しい姿勢を維持しにくくなります。
ダイニングテーブルでの学習なども一つの例です。
子どもに合わせて家具を選ばれているご家庭もございますが、多くが大人に合わせた作りの家具がほとんどです。
椅子に深く座った状態で足が床につかないと姿勢が安定せず、骨盤が後ろに傾きやすくなります。
3. 姿勢が悪いことによる身体的な影響

3-1. 骨や筋肉の成長への影響
子どもの成長期に姿勢が悪いと、関節や筋肉に負担がかかり、以下のような影響が出ることがあります。
- 骨格の発達に影響
猫背が続くと背骨が曲がりやすくなり、骨格の発達に影響を与えます。
反対に反り腰になると腰に負担がかかり、慢性的な腰痛を引き起こすこともあります。 - 怪我をしやすくなる
姿勢が悪いと、特定の筋肉ばかりを使うことで筋力のバランスが崩れやすくなります。
特に体幹が弱いと、正しい姿勢を維持するのが難しくなり、スポーツをしている子どもは勿論、そうでない子どもでも怪我をしやすくなります。
3-2. 肩こり・腰痛・頭痛を引き起こしやすい
「肩こりや腰痛は大人の悩み」と思われがちですが、近年では小学生でも肩こりや腰痛を訴えるケースが増えています。
その主な原因は、長時間のスマホ・タブレット使用や、机に向かう時間の増加による姿勢の悪化です。
- 肩こりの原因
猫背の姿勢が続くと、首や肩の筋肉に負担がかかり、肩こりを引き起こします。
また、ストレートネック(首の自然なカーブが失われた状態)になると、慢性的な肩こりを引き起こしやすいです。 - 腰痛の原因
椅子に浅く座って背中を丸める姿勢は、腰に大きな負担をかけます。
長時間この姿勢を続けると、成長期の子どもでも腰痛を訴えることがあります。
肩こりや腰痛を予防するためには、長時間同じ姿勢を続けないことと適度な運動を取り入れることが大切です。
3-3. 運動能力の低下
良い姿勢を維持するには、筋力とバランス感覚が必要です。
しかし、姿勢が悪い子どもは、身体を支える筋力が弱く、運動能力にも影響が出やすくなります。
- 走るときのフォームが崩れ、スピードが出にくい
- ジャンプや方向転換の際にバランスを崩しやすく転びやすい
- 身体の動きがぎこちなくなり、スポーツが苦手になる
など…
姿勢の悪さはバランス感覚や俊敏性にも影響を与えます。
身体の使い方がうまくいかず、転びやすくなったり、運動のパフォーマンスが低下したりすることがあります。
良い姿勢を保つには、バランスよく全身の筋肉を使うことが必要です。
3-4. 呼吸への影響
姿勢が悪いと、胸が圧迫され、十分に空気を取り込めなくなります。
特に、猫背の姿勢は肺を広げるスペースを狭めてしまうため、呼吸が浅くなりやすいです。
- 疲れやすくなる
脳や筋肉への酸素の供給量が減り、疲れやすくなる - 持久力の低下
酸欠状態になりやすく、運動時にすぐ息切れする - 集中力の低下
十分な酸素が脳へ行き渡らなくなり集中力が続かず、学習効率が下がる
集中力や持久力の低下につながる理由
呼吸が浅いと、脳への酸素供給が不足し、集中力が続かなくなります。
そのため、授業中に眠くなったり、学習の効率が悪くなったりすることもあります。
さらに、持久力の低下は、スポーツだけでなく、日常生活の活動量にも影響を与えます。
疲れやすいことにより、活動量が減り運動不足をより悪化させてしまう可能性が高くなります。
また疲れやすいことが、学習面においても効率が下げてしまい、学力の低下を招く恐れも高くなります。
子どもが深い呼吸を意識できるようにするためには、正しい姿勢を保つことが大切です。
4. 姿勢の悪さが学習やメンタルに与える影響

子どもの姿勢が悪いと、身体の不調だけでなく、学習の効率やメンタル面にも悪影響を及ぼします。
集中力が続かない、すぐに疲れる、自信が持てないといった悩みの背景には、姿勢の崩れが関係していることも多いです。
4-1. 集中力の低下
子どもが勉強中にすぐ集中力を切らしてしまう、といった悩みを持つ親御さんも多いのではないでしょうか?
悪い姿勢が与える影響について要点を下記にまとめております。
- 血流の悪化
猫背や前かがみの姿勢が続くと、首や肩に負担がかかり、肩回りの血流が悪化します。 - 思考力や記憶力の低下
血流が悪くなると、脳に十分な酸素や栄養が行き渡らず、思考力や記憶力が低下します。 - 自律神経の乱れ
長時間の座り姿勢で骨盤が歪むと、自律神経が乱れ、イライラや疲れから集中力が持続しにくくなります。
正しい姿勢を維持することで、脳が活性化し、学習効率が向上しやすくなります。
逆に、悪い姿勢が続くと、呼吸の乱れや自律神経の乱れから学習中に眠くなったり、イライラしやすくなります。
3-2. 疲れやすくなる
姿勢が悪いと、ちょっとしたことで「疲れやすい」「すぐにだるくなる」といった症状が出やすくなります。その原因のひとつが 自律神経の乱れ です。
- 筋肉に余計な負担がかかる
猫背や反り腰の状態では、特定の筋肉に余計な負担がかかり、疲れがたまりやすくなる。 - 緊張状態が続く
骨盤が歪むと、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になることにより、リラックスしづらくなる。 - 酸素不足になる
胸が圧迫されることで呼吸が浅くなり、酸素不足に陥り、疲労感が増す。
特に、子どもは疲れていても自覚しにくいことが多いため、「なんとなくやる気が出ない」「イライラしやすい」といったサインが見られたら、姿勢をチェックしてみることが大切です。
3-3. 自信や気持ちの落ち込み
実は、姿勢とメンタルの関係は深く、「姿勢が悪いと気分が落ち込みやすくなる」 という研究結果もあります。
- 気分が上がらない
背中が丸く、視線が下がることで、気分が沈みやすくなる。 - やる気が出ない、だるい気持ちになる
うつむきがちな姿勢が「ネガティブな感情」を引き起こしやすい。 - 自律神経が乱れる
先述した通り、姿勢が悪いと自律神経が乱れやすくなり、リラックスしづらくなる。
逆に、背筋を伸ばすことで自信を持ちやすくなり、ポジティブな気持ちになりやすいことも分かっています。
例えば、大事な試験前に「胸を張って試験を受ける」ことで、緊張を和らげる効果も期待できます。
「なんとなく自信がない」「気分が沈みがち」と感じる子どもは、まずは姿勢を確認して整えることから始めてみてください。
4. 子どもの姿勢を改善するための方法

子どもの姿勢を良くするためには、特別なトレーニングをしなくても、日常のちょっとした意識で改善できることがたくさんあります。
ここでは、家庭で簡単にできる「正しい座り方・立ち方の習慣づけ」や「姿勢チェック方法」について解説します。
4-1. 日常生活でできる姿勢改善のポイント
正しい座り方を意識する
子どもが長時間座る場面は、学校や家庭での勉強、食事の時間などさまざまです。特に、「楽な姿勢=良い姿勢」ではない ことを理解することが大切です。
- 椅子に深く座る(お尻をしっかり背もたれにつける)
- 背筋を伸ばし、軽く顎を引く
- 足の裏を床につけ、膝を90度に曲げる
- 机との距離を適度に保ち、顔を近づけすぎない
- 足をブラブラさせる(足が床につかない)
- 背中を丸めて前かがみになる(猫背)
- 片方の肘をついて、体を斜めに傾ける
特に、学校の授業中や宿題をしているときに「無意識の猫背」になりやすいので、親が時々声をかけてあげると良いでしょう。
正しい立ち方を意識する
立ち姿勢も、意識しないと片足重心になったり、腰が反りすぎたりしがちです。良い立ち姿勢を意識することで、バランスの取れた体の使い方が身につきます。
- 耳・肩・腰・くるぶしが一直線になるように意識する
- お腹に軽く力を入れて、背中を反りすぎないようにする
- 両足に均等に体重をかける
- 片足に体重をかける(クセになると骨盤の歪みにつながる)
- 腰を反りすぎて、お腹が前に出る(反り腰)
- 背中を丸めて肩が内側に入る(猫背)
子ども自身が「今、自分の立ち方は正しいかな?」と意識できるようになることが理想です。
4-2.家庭でできる簡単な姿勢チェック
姿勢が崩れているかどうかは、自分では気づきにくいもの。定期的に親子で姿勢チェックをして、良い姿勢をキープできるようにしましょう。
① 壁を使った姿勢チェック
- 壁に背中をつけて立ち、後頭部・肩・お尻・かかとを壁につける。
- 腰と壁の隙間を手のひら1枚分ほどにする。
- その姿勢をキープしたまま、壁から離れてみる。
- 腰の隙間が広すぎる ⇒ 反り腰の可能性あり。
- 背中が丸まって後頭部が壁につかない ⇒ 猫背の可能性あり
このチェックをすると、子どもも「正しい姿勢の感覚」をつかみやすくなります。
② 椅子に座った姿勢チェック
- 椅子に座り、横から姿勢を確認する。
- 耳・肩・腰が一直線になっているかチェックする。
- 足がしっかり床についているかも確認する。
- 背中が丸まっている ⇒ 猫背の可能性
- 足が床についていない ⇒ 座面の高さが合っていない
- 腰が反ってお腹が前に出ている ⇒ 反り腰の可能性
このチェックを習慣にすると、日常的に良い姿勢を意識しやすくなります。
③ 親子で姿勢写真を撮る
時々、子どもの姿勢を正面・横・後ろから写真に撮ってみるのもおすすめです。
写真で見ると、意外と姿勢のクセがわかりやすく、子ども自身も気づきやすくなります。
4-3. 姿勢を良くするためのトレーニング
正しい姿勢を維持するためには、体幹を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。ここでは、家庭で簡単にできるトレーニングを紹介します。
体幹を鍛える運動(プランク・ブリッジなど)
体幹が弱いと、姿勢を維持するのが難しくなります。簡単な運動を取り入れて、少しずつ筋力をつけていきましょう。
プランク(30秒~1分を目標に)
うつ伏せになり、肘とつま先で体を支える。
頭からかかとまで一直線をキープし、お腹に力を入れる。
ブリッジ(10秒×3回)
仰向けになり、膝を曲げて足を床につける。
お尻をゆっくり持ち上げ、肩から膝まで一直線にする。
柔軟性を高めるストレッチ
キャット&カウストレッチ(10回)
四つん這いになり、背中を丸めたり反らせたりする。
もも裏ストレッチ(20秒×2回)
床に座り、片足を伸ばしてつま先をつかむように前屈する。
4-4. 生活習慣の見直し
スマホやゲームとの適切な付き合い方
スマホやゲームの長時間使用は、姿勢の悪化を引き起こす大きな要因です。
以下のポイントを意識して、使用時間や姿勢をコントロールしましょう。
- 1日〇時間までと時間を決める
- 30分に1回は立ち上がり、軽く体を動かす。
- スマホを見るときは、できるだけ目の高さに近づける。
- ソファやベッドで寝転びながらの使用を控える。
「ながらスマホ」や「ダラダラ使用」を避けるだけでも、姿勢の改善につながります。
運動習慣を取り入れる
日常生活の中で運動量を増やすことも、姿勢改善に役立ちます。
- 家族で出かける際に歩く時間を意図的に増やす
- 公園遊びや鬼ごっこなどの外遊びを増やす
- 親子で一緒にストレッチやトレーニングをする
楽しみながら体を動かすことで、自然と姿勢が良くなる習慣が身につきます。
5. まとめ

現代の子どもたちは、スマホやタブレットの使用、長時間の座り姿勢、運動不足などの影響で、姿勢が崩れやすい環境にあります。
姿勢が悪い状態を放置すると、肩こりや腰痛、集中力の低下、運動能力の衰え、自信の低下など、心身にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
姿勢改善は、できることから少しずつ!
子どもの姿勢を改善するには、日々のちょっとした意識や習慣の積み重ねで改善することができます。
いきなり「毎日トレーニングをしよう!」と意気込むよりも、日常の小さな習慣を見直し、楽しく取り組むことがポイントです。
まずは、
- 椅子に座るときの姿勢を意識する
- スマホの使い方を見直す
- 親子でトレーニングやストレッチをする
など、簡単にできることから始めてみましょう。
結果として姿勢が整うことで、子どもの健康・学習・自信にも良い影響が生まれます。
無理なく続けられる方法を見つけていきましょう!